赤ワイン
赤ワイン【概要】
- 古来から民間治療薬として用いられていた
- フレンチ・パラドックスに見られるように心臓病予防に効果的
- 有効成分のレスベラトロールは癌予防にも期待が持てる
赤ワインはブドウの果実を醗酵させてから果汁を搾って出来たアルコール飲料です。先に果汁を搾ってから醗酵させると白ワインになります。
『旧約聖書』に出てくる「ノアの方舟」で有名なノアは、大洪水のあと、すぐさま畑でブドウをつくり、ワインをつくったと言います。
後に赤ワインはキリストの血にたとえられ、神への供物(くもつ)には必ず赤ワインが捧げられました。赤ワインは古来から民間治療薬としても用いられ、古代ギリシャでは傷の消毒、便秘や不眠の解消といえば赤ワインだったといいます。
赤ワインは、人類と深いかかわりがあったといえます。そんなワインと、もっとも親しんでいる国はといえばフランスでしょう。
「フレンチ・パラドックス」という言葉があります。動物性脂肪の多いこってりした食事を摂り続けていると血液中のコレステロールが増え、動脈硬化や心臓病などいわゆる「生活習慣病」のリスクが高くなるのは周知の事実です。WHO(世界保健機関)によると、動物性脂肪摂取量と心臓病死亡率には明らかな相関があるとのことです。
しかし、フランスだけがそのルールがあてはまりません。肉消費量・乳脂肪消費量に照らし合わせてみたときに、心臓病による死亡者が少ないのです。これが「フレンチ・パラドックス」と言われるものです。
1人あたり年間60リットル以上のワインを飲み、ワイン消費量世界一のフランス。フレンチ・パラドックスの秘密の鍵を握るのは、そのワインにあるのではないかといわれています。
ワインお主な成分と効能や効果
ドイツのワイン・アカデミー科学委員会のニコライ・ボルム博士は、ワインの効能として『英国医学会誌』(1995年5月6日号)で次のような発表をしています。
「ワインは心臓病のほか、脳梗塞(のうこうそく)、癌(がん)の予防、ストレスの解消に役立ちます。ワイン製造の途中で、ブドウの皮や種子(しゅし)から生成されるポリフェノールが血行をよくして緊張感をとり去り、血圧を下げたり、ストレスを解消する」
デンマークのコペンハーゲンで1万3000人の男女を12年間追跡調査したところ、ここでも「ワイン効果」を示す次のようなことがわかったといいます。
「まったくアルコールを飲まない人に比べ、ワインを毎日3~5杯飲む人は心臓病、脳梗塞などの循環器系疾患での死亡率が56%も低い。ビールを飲む人も28%低い。しかし、ウイスキー、ブランデー、ウオツカ、ジン、ラムなどの蒸留酒(じょうりゅうしゅ)を飲む人は、逆に35%も高い」
アメリカ、イリノイ大学のJ・ペズート博士らは、ワインと癌(がん)の関係について、権威ある科学誌『サイエンス』において次のように発表しています。
「ワインやブドウに含まれるレスベラトロールという物質が発がんを抑制し、癌(がん)の転移を防ぐ」
このようにワインの効能は様々なところで報告されています。では、白と赤、どちらを選ぶか? 軍配は「赤」に上がります。
赤ワインの渋みは抗酸化作用を持つカテキンによるものです。また、善玉コレステロールを増やし、動脈硬化を予防するポリフェノールは、白ワインに比べて10倍も含んでいます。
漢方の陰陽論(漢方用語で食物には体を温めるものと冷ますものがあるという考え方)からも、おすすめするのは白ワインよりも赤ワインの方です。
冷え冷えとした「白」よりも燃えるような「赤」のほうが、温め効果は当然ながら高いとされます。
また、「相似の理論(漢方用語で食べたモノと似た形や性質の影響を受けるという考え方)」からすると、血液を思わせる色をした赤ワインには、造血、貧血の予防・改善、生理のトラブル改善の効能があると考えられます。
赤ワインに含まれる健康成分
赤ワインに含まれる健康成分には以下のようなものがあります。