いちじく(無花果)
いちじく(無花果)【概要】
- 人類最古の栽培食物
- 古くから民間療法に利用されてきた薬用食物
- 便秘にも下痢にも効果的
あまり知られていませんが、いちじく(無花果)は「人類最古の栽培食物」といわれ、その歴史は小麦粉よりも古いとされています。
ハーバード大学などの研究チームの発表によると、ヨルダン渓谷にある約1万1400年前の遺跡から、野生のものではない無花果の実が発見されたそうです。
古代エジプトの壁画にもイチジクが描かれているほか、『旧約聖書』では「アダムとイヴがいちじくの葉を綴(つづ)りて前垂(まえだ)れをつくれり。」とあり、古くから人類とともにあったのは確かなようです。
いちじくはアラビア地方が原産で陰性(漢方用語で体を冷やす性質)の作用を持ちますが、陽性(漢方用語で体を温める性質)の「種子」が実の中に含まれるので「間性(漢方用語で体を冷やしも温めもしないバランスの良い性質)の果物」とされています。ドライフルーツにするとさらに陽性が強まります。
日本に無花果は江戸時代に中国から入ってきました。薬用として栽培されていましたが、次第に食用として広まっていきます。食用としているのは、果実ではなく肥大した花房です。
イチジクの主な成分と効果や効能
中国の薬学書『本草綱目(ほんぞうこうもく)』ではイチジクのことを「胃を開き、下痢を止め、痔やノドの痛みを治す」とあり、五痔(切れ痔、脱肛、内痔核、外痔核、痔ろうの5種)を治すとされていました。
いちじくには糖分やビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、カルシウムが豊富なほか、血圧降下作用のあるプソラレエンが含まれています。
また、消化を促す酵素や食物繊維を豊富に含み、胃腸のはたらきを正常な状態へと導く効果が期待できます。「便秘」と「下痢」は症状が正反対ですが、いずれも胃腸が正常ではない状態にあることに変わりはありません。無花果を食べて胃腸が正常化されると、どちらも改善効果が期待できます。
便秘や下痢の改善効果を期待する場合は、イチジクの食べるタイミングを食後にするとよいです。スムーズに消化を進めつつ胃腸も丈夫にする作用があります。
無花果の葉や茎を切ったときに出る乳液は、イボ、魚の目、水虫に塗ると効くとされ、古くから伝わる民間療法のひとつとされます。
無花果の民間療法
無花果は昔から以下のような症状に対する民間療法薬に利用されてきました。
◆便秘・下痢
果実をしっかり噛み、1日5~6個食べる。
◆痔の腫れ・痛み
いちじくの葉を煎(せん)じ、煎じ液で患部を洗う。
◆痔・腰痛・神経痛
刻んだ葉2~3枚を入れた布袋を、風呂を沸かす前から湯船に入れておく。湯が沸いたらゆっくりと浸かる。
◆手足の荒れ
ガーゼで実をつぶして絞り、その汁を患部に毎日すり込む。
いちじく(無花果)に含まれる健康成分
いちじく(無花果)に含まれる健康成分には以下のようなものがあります。